コラム

リスクマネジメントの目的と適切な進め方

2023.05.13

経済活動のグローバル化や情報伝達の高速化など、企業を取り巻く環境は刻々と変化しています。

 

企業経営における重要な取り組みの1つに、リスクマネジメントがあります。

 

リスクマネジメントが不十分だと、リスクに直面したときに莫大な損失を被ったり、顧客や株主から信頼を失ったりして、会社が存亡の危機に立たされることも少なくありません。

 

今回は、リスクマネジメントの目的と進め方について、解説します。

リスクマネジメントとは?

リスクマネジメントとは、企業経営に損失を及ぼす危険性があるリスクに対して適切に対処することにより、損失を回避することや最小限に抑える経営管理手法を指します。

 

その始まりは、アメリカで保険の理論として展開されたことにあるとされています。

 

将来的に起こり得るリスクを想定し、リスクが起こった場合の損害を最小限に抑えるための対応です。

 

事前にリスクを回避するための措置と、リスクが起こった際の措置と2つの側面を持ちます。

リスクマネジメントの目的とは?

リスクマネジメントの目的は、問題発生時の事業存続です。

 

起こり得るリスクやその影響を把握し、対策を講じておくことによって、問題が発生しても、損失を極小化できます。

 

では、どのような目的で、企業がリスクマネジメントを行っているのか、見てみましょう。

事業継続リスク

企業が事業を継続していくためには、事業利益や社会の信用が必要不可欠です。

 

すべてのリスクに対策をすることで、事業における損失を最小限にとどめて、株主や一般消費者からの信用を失墜させないようにする目的で、企業はリスクマネジメントを実施しています。

情報漏洩対策

情報技術が高度に発展しており、ITシステムを事業に取り入れる企業が増えています。

 

ですが、情報技術の発展にともなって、インターネットから、企業の機密情報を盗むサイバー犯罪のリスクが高まっています。

 

サイバー犯罪の被害にあうと、企業は、機密情報の漏洩により金銭的な被害を被るだけでなく、企業イメージと社会的信用の低下につながる恐れがあります。

 

情報漏洩対策をすることは、リスクマネジメントになります。

事業機会損失リスク

製品事故、偽装問題、情報漏えい、コンプライアンス違反、自然災害などが、リスクマネジメントの原因となります。

 

このようなリスクが起こったら、企業は、金銭的損失だけではなく、社会的な信用を失ってしまいます。

 

社会的信用が得られないと、事業機会の損失が起こり、企業の売上は激減するだけでなく、取引先企業からの信用も失くなり、ビジネスの継続が難しくなります。

リスクマネジメント対策とは?

リスクマネジメントのために、どのような対策をする必要があるのでしょうか。

 

企業がリスクマネジメントを実施する際に、するべき対策について解説します。

リスク管理部の設置

リスクマネジメントを効果的に実施するためには、リスクマネジメントを業務として取り組むリスク管理部を設置するといいでしょう。

 

自社の事業活動において起こりうる可能性があるリスクを想定し、リスク発生時の対策を検討します。

 

また、リスク対策が効果があるかどうかをモニタリングし、随時改善していかなければいけないでしょう。

代替手段の確保

自然災害やサーバーダウンといったアクシデントが発生しても、別の代替手段を用意して、事業活動を継続できるようにする必要があります。

 

アクシデント発生時の代替手段を検討する場合、アクシデント発生からの行動のフローチャートを策定し、冷静に対応しなければいけません。

従業員にリスクマネジメント教育

情報漏洩やコンプライアンス違反といったものは、従業員がリスクマネジメントに取り組むことで、リスクを抑止できます。

 

このようなものに対して、企業は、従業員にリスクマネジメント教育をすることは効果的です。

 

情報漏洩については、機密情報の取り扱いのルールや怪しいサイトへの対処方法の教育をすると、リスクを防ぎやすくなります。

 

コンプライアンス違反については、どのようなものがコンプライアンス違反となるかについての実例を挙げた説明やコンプライアンス違反をしてはいけない理由について指導するのが有効です。

リスクマネジメントの進め方

リスクマネジメントを実施するには、リスクの洗い出しや評価・対策などを順序立ててする必要があります。

 

不適切な対応だと、企業のリスクが高くなる恐れがあるので、注意しましょう。

 

リスクマネジメントの進め方を以下に説明します。

リスクの特定

企業の運営を阻害する恐れがあるリスクを発見し、リスクの種類・内容やリスクに関連する業務などを洗い出します。

 

リスクの影響度は考えずに、組織に少しでも影響があると思ったものは、すべてリスクとして特定します。

リスクの算定

リスクを特定したら、リスクの発生確率とリスクの影響度を考慮して、企業にとってのリスクの大きさを算定します。

 

リスクの大きさ=リスクの発生可能性×リスクの影響という数式で定量化します。

 

算定結果をプロット表にまとめると、リスクの度合いが明確になります。

 

リスクの評価

算定されたリスクの大きさによって、重要度を評価し、優先順位を決めます。

 

優先順位の高い項目から対応しますが、重要度が比較的小さいリスクをまとめて対策して、重要度の高いリスクの対策をすることもあります。

 

リスク対策による業務への影響や対策に必要な費用についての検討もしなければいけません。

リスク対策の方法選択

リスク対策は、リスクコントロールとリスクファイナンシングの2つのやり方で進められます。

 

リスクコントロールは、損失の発生防止と発生した損失の最小化が主な目的です。

 

リスクを伴う活動を中止したり、リスクの発生源を分散させたりします。

 

リスクファイナンシングは、金銭で損失を補てんする方法で、保険契約などで第三者にリスクを移転する方法とある程度の損失が発生することを割り切ってリスクを受け入れる方法があります。

リスク対策の実施

リスク対策を実施しますが、対策をしたことが、リスクマネジメントが完了したことではありません。

 

対策のプロセスや効果を評価して、対策をし続けなければ意味がありません。

 

リスクマネジメントを適切に行うために、従業員の役割や有事における対応を規程にまとめておくといいでしょう。

モニタリングと是正

リスク対策を実施したら、プロセスを評価し、対策で得られた結果を検証しましょう。

 

改善すべき対策は、再度計画をし直し、目標となる数値まで残留損失を減らせるようにPDCAサイクルを回す必要があります。

まとめ

社会情勢の変化が激しい現在、企業にとってさまざまなリスクが顕在化しています。

 

リスクマネジメントは、企業が持続的に発展していくうえで障壁となるリスクを把握し、対策を講じることが主眼になります。

 

経済活動における損失を防ぎ、事業継続性を高く保つためにも、リスクマネジメントは欠かせません。

 

綿密に計画立てて、リスクマネジメントを効果的に実施しましょう。

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