コラム

休みの日に仕事の電話は問題なのか?

2023.04.23

会社から携帯を支給されて、業務連絡や顧客対応に使っている方は多いでしょう。

 

休日の電話対応は、できるだけ避けたいのですが、休日に、電話がかかってきた時に、どのように対応すればいいのでしょうか?

 

休日に仕事の連絡が入ることは、労働基準法的には問題ないのでしょうか。

 

今回は、休日の電話連絡について解説します。

 

休日に仕事の電話をする問題点とは?

休日に仕事の電話をしたり、電話連絡を受けたことがある人は多いでしょう。

 

ですが、休日に仕事の電話を受けることをストレスに感じる人がいますし、労働基準法上の問題が出るおそれがあります。

 

休日に仕事の電話をする問題点について見ていきましょう。

労働基準法上の問題になる

労働時間外にあたる休日に、仕事の連絡がくるのは法的な観点から見て、アウトです。

 

<労働基準法>

「使用者が、第 33 条又は前条第1項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の2割5分以上5割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。」(第37条より)

 

休日に仕事の対応を求める場合は、時間外の割増賃金を支払う必要があり、雇用者は注意する必要があります。

 

休日の労働時間として認められる場合は別ですが、もし自分が電話する立場になったら、よほどのことがない限り、休日は電話をしないことがベストですし、自分が電話を受ける立場でも、電話に出る必要は一切ありません。

 

リアルタイムにカウントされる電話応対と違って、応対にタイムラグのあるメールやメッセージ対応は若干グレーではありますが、企業が、休日の返信を強いてきた場合は、時間外労働・休日労働に該当します。

ストレスの原因になる

休日に仕事の電話がかかってくると、休日のリラックスした気分は一気に台無しになり、憂鬱な気持ちになることもあるでしょう。

 

休日の仕事の電話が常にある場合、休日であっても、また連絡がくるのでは?と気持ちが休まることがなく、ストレスの原因になります。

心身に悪影響を与える可能性がある

休日の仕事の電話は、心身に悪影響を与えることもあります。

 

休日に仕事の電話をすることは、長時間労働にもつながり、うつ病を発症したり、過労死といった最悪の事態を引き起こすきっかけになる場合もあります。

 

過労死で亡くなった人は、業務時間外にも上司からの叱責や取引先からのクレームなど、精神的な負担が非常に大きかったという指摘があります。

 

パワハラに該当するおそれがある

休日に、上司が部下に、仕事の電話をして仕事をさせた場合、上司という優越的な関係にもとづいて、部下に勤務時間の範囲を超えて仕事をさせており、これによって勤務環境が害されているといえる場合は、パワハラに該当するおそれがあります。

休日の電話は無視してもいいのか?かかってきた時の対処法とは?

会社の携帯は、休日は、会社に置いておいた方がいいですが、営業担当者は、営業成績につながりますので、会社に、会社の携帯を置いて帰りにくいこともあるでしょう。

 

では、休日の会社携帯にかかってきた電話への対処法をご紹介します。

何度もかかってくる電話は緊急連絡の可能性が高い

休日に電話対応する法的な義務はないため、休日に携帯に電話がかかっても、電話にでる必要はありません。

 

ですから、1回目にかかってきた電話は、出なくていいでしょう。

 

ですが、休日に、何度も電話がかかってきた場合、緊急による連絡の可能性が高いと考えられます。

 

緊急性があるのに、電話にでないと、問題が大きくなるかもしれませんので、電話に出て、急ぎの要件かどうかを伺うようにするといいでしょう。

退社後は、会社の携帯の電源をオフにする

休日は心身を休ませる必要があるので、余計なことを考えないようにするために、会社の携帯の電源をオフにしましょう。

 

勤務時間が終わったら、取引先への対応も終わりにしましょう。

休日出勤扱いになることがある

休日に、取引先からクレームが出ることがあります。

 

サービス業や営業職であれば、そのような緊急事態に対応した経験のある人も少なくないでしょう。

 

会社から要対応という判断がなされた場合、会社によっては休日出勤扱いになることもあります。

 

休日出勤の場合には、時間外(法定外休日)労働の割増率に応じた割増賃金を受け取れます。

メールで用件を尋ねる

営業職やサービス業の場合、休日に、取引先から電話がかかってくることがあります。

 

休日は、折り返しの電話をのではなく、メールで用件を尋ねるのがいいでしょう。

 

緊急でない案件であれば、休み明けから順次対応することをメールで連絡すればいいでしょう。

休日の仕事の電話を防止する方法とは?

休日の仕事の電話に関するトラブルを起こさないためにも、休日の仕事の電話を防止する方法について解説します。

 

休日の連絡は控える

緊急性がない限り、休日の仕事の電話は控えるべきです。

 

休日に連絡をするか迷ったときは、案件の緊急性を十分に検討しましょう。

 

休日の仕事の電話は、従業員のプライベートを妨げたり、ストレスを与えてしまったり、さらには、労働問題に発展する可能性があるため、休み明けでも間に合うような内容であれば、電話をしないで、休み明けに対応しましょう。

休日の電話についてのルールを決める

トラブルを未然に防ぐために、休日の仕事の電話に関するルールを決めておくといいでしょう。

 

休日に電話連絡をする時の労働時間の管理方法や連絡手段などを決めておくと、労働時間に関するトラブルを防ぐことができます。

 

また、緊急性が高いことの基準を決めて、緊急時の場合のみ、休日の連絡をするというように決めておけば、電話をする従業員も電話を受ける従業員も、対応しやすくなります。

管理職への教育をする

ちょっとした短い時間の電話をしても問題ないと考える上司がいるかもしれません。

 

ですが、上司と部下という関係性で、部下は、上司に、休日に電話しないでほしいと言えません。

 

そのため、管理職に、休日の仕事電話は控えるべきであり、従業員の心身に悪影響を及ぼしたり、労働問題に発展する可能性があることをしっかりと教育しておく必要があります。

まとめ

休日にもかかわらず仕事の電話がかかってくる悩みを抱えるビジネスパーソンは多いです。

 

ですが、休日は、従業員にとってプライベートの時間であり、緊急性のない仕事の電話はすべきではありません。

 

法律上、休日に電話対応をする義務はありませんので、着信に対して、メールで用件を尋ねましょう。

 

会社としては、休日に連絡を取らなくてよい仕組みを作ることが大切です。

 

どうしても休日に連絡をする必要が出てきた場合であっても、休日であることへの配慮が欠けてはいけません。

 

また、日常的に業務効率化を取り組み、そもそも休日に連絡を取らなくてよい仕組みを作ることが大切です。

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