コラム

ワークライフバランスに必要な取り組みとは?

2023.03.31

働き方改革の推進により、仕事も私生活も一緒に充実させるワークライフバランスを実現する取り組みが、さまざまな企業で行われています。

 

少子高齢化による人手不足などの課題に対応するため、今後はますます重視されていくことでしょう。

 

ワーク・ライフ・バランスの概念やメリット、企業の具体的な取り組みなどについて解説します。

ワーク・ライフ・バランスとは?

ワーク・ライフ・バランスとは、性別や年齢を問わず、仕事と生活を調和させ、相乗効果を生み出すを意味します。

 

ワークライフバランスとは、1980年代のアメリカで誕生した概念です。

 

バブル崩壊後の1990年代以降に、ワークライフバランスの考え方が日本に普及し始めました。

 

ですが、雇用不況で経済的な豊かさを企業に求められなくなったことや、男女雇用機会均等法など社会における女性の活躍への期待もあって、誰もが、仕事以外の事に対して熱中できるような生き方が、注目を集め始めました。

 

ワークライフバランスが実現すれば、従業員は、プライベートが充実するので、心身が健康に保てたり、充実感を得られるので、意欲的に仕事に取り組めるようになるでしょう。

ワークライフバランスを推進するメリットとは?

ワーク・ライフ・バランスを充実させることは、従業員だけでなく、企業にとっても多くのメリットがあるといわれています。

 

どんなメリットがあるのか見てみましょう。

優秀な人材の定着

前少子高齢化・人口減少が急速に進んでおり、人手不足の解消だけでなく、どの企業にとっても、優秀な人材の獲得は非常に重要な課題です。

 

新入社員の就職先での勤続意向は、定年まで現在の会社で勤めたいと考える人よりも、現在の会社で勤め続けることにこだわらない人が多く、転職は当たり前になっており、優秀な人材ほどその傾向が強いといわれています。

 

さらに、プライベートを大事にする傾向も広く知られています。

 

そういうことから、ワーク・ライフ・バランスの充実は、優秀人材の獲得や人手不足の解消が期待できます。

従業員のモチベーションが上がる

ワークライフバランスの実現は、従業員のモチベーションアップにもつながります。

 

プライベートが充実するので、趣味の時間が増えるためです。

 

心身ともに健康的でいることは、仕事の集中力を高め、仕事に対する意欲も向上させます。

従業員の離職や意欲低下の防止

従業員の離職理由として、労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったというのが非常に多いです。

また、男女ともに、ワーク・ライフ・バランスが取れていると感じている人のほうが仕事への意欲が高いとも言われています。

ワーク・ライフ・バランスの充実による就業環境の改善は、従業員の離職を防ぎ、仕事への意欲を高めるモチベーションアップの効果が大きいと言えるでしょう。

企業のイメージアップ

ワークライフバランスを実現することは、企業のイメージアップにもつながります。

 

従業員を大切にする企業として社外に知られることで、優秀な人材の確保や、商品の売り上げアップにつながるかもしれません。

 

厚生労働省では、労働者の安全や健康を確保するための対策に積極的に取り組み、高い安全衛生水準を維持・改善している企業を、ホワイト企業として公的な証明をしています。

この認定を受けると3年間、その認証マークが使用可能となり、求人広告などにつけることができます。

 

従業員を大事にする取り組みをして、ホワイト企業であることをPRするのは、企業イメージの向上に高い効果があると考えられます。

 

そのためにも、ワーク・ライフ・バランスの充実は欠かせないでしょう。

ワークライフバランスを推進するための取り組みとは?

ここでは、ワークライフバランスを実現するためにどのような取り組みをすればいいのかについて解説します。

勤務時間の削減

残業や休日出勤を減らすだけなく、残業の原因を分析して業務フローを見直し、業務効率化や業務負担の軽減を図るといいでしょう。

 

業務効率化を図る手段としては、業務の見える化、情報共有などの方法があります。

フレックスタイム制の導入

フレックスタイム制を導入して、従業員が働く時間を決められるようにするのもワークライフバランスの実現になります。

 

フレックスタイム制とは、従業員が勤務始業・終業時間を決めることができる制度です。

テレワークの導入

テレワークを導入し、オフィス以外の自宅などで仕事ができるのも手段の1つです。

 

通勤しなくていいので、従業員は育児や介護をする時間を確保できます。

 

テレワークを実現すると、交通費やオフィス賃貸料のコスト削減にもなり、企業にとってもメリットがあります。

有給取得の推進

残業や休日出勤を減らすだけではなく、有給の取得も推進しましょう。

 

特別休暇制度や育児休暇の取得を促す必要もあります。

ワーク・ライフ・バランスの注意点とは?

ワーク・ライフ・バランスの取り組みには、注意点があり、注意をしないと、マイナスの影響が出てしまうことがあります。

 

どのような注意点があるか、解説します。

新しい制度をよく検討して、導入する

全従業員がワーク・ライフ・バランスを導入を希望しているわけではない場合があります。

 

ワーク・ライフ・バランスを導入すると、勤務時間が短くなり、残業代も出なくなることから、不満を持つ従業員も出るかもしれません。

 

全従業員に制度導入を賛成してもらうのは難しいかもしれませんが、従業員のモチベーションの低下や会社への不信感につながるような制度に取り組むのは止めたほうがいいでしょう。

 

新しい制度を導入する場合、メリットとデメリットを慎重に検討してから始めるようにしましょう。

ワーク・ライフ・バランスについて理解する

ワーク・ライフ・バランスは、勤務時間を減らして、プライベートを充実させる制度ではないのですが、そのように思っている方が多いようです。

 

まずはこうした誤解を解き、従業員に周知させないと、導入が難しくなります。

 

従業員に、ワーク・ライフ・バランスは、仕事とプライベートのバランスを保つことであることを伝え、誤解した認識変えなければいけません。

 

セミナーなどを実施して、従業員に、ワーク・ライフ・バランスを導入するメリットを伝え、理解してもらうように努めましょう。

定期的に制度の見直しをする

ワーク・ライフ・バランスは、仕事とプライベートのバランスが取れていることです。

 

過度な労働が改善されなかったり、プライベートだけを重視したり、育休が利用しにくい雰囲気になっていたりする場合は、運用方法に問題があると考えられます。

 

現在、ワーク・ライフ・バランスがうまく推進されている会社は、従業員が周知できるまで説明会を繰り返したり、従業員にアンケートを取って、意見を聞き、制度に取り入れて、改善をしながら、現在のいい状況になっています。

 

ワーク・ライフ・バランスは、仕事かプライベートのどちらかに偏重しないように、制度を定期的に見直す必要があります。

 

さまざまな方法で問題を解決しながら、ワーク・ライフ・バランスがうまく推進できるようにしていきましょう。

有給を利用しやすい環境を整える

新しい制度を始めても、上司の価値観や部署の雰囲気によっては、利用しにくくなるかもしれません。

 

ワーク・ライフ・バランスを浸透させていくためには、新しい制度の説明をするだけではなく、全従業員が、ワーク・ライフ・バランスを推進しようという姿勢が大切です。

 

上司が積極的にワーク・ライフ・バランスの制度を活用すると、部下も制度を活用しやすくなるので、新しい制度を利用しやすい環境を整えることが大切です。

まとめ

ワーク・ライフ・バランスは、従業員の仕事とプライベートの充実だけでなく、従業員の生産性の向上や優秀な人材の獲得など、企業にとってもメリットがあります。

 

自分のライフスタイルに合わせて、仕事をしたいと考える従業員が増えており、価値観の多様化にともない、企業は、よりワーク・ライフ・バランスの実現が求められていくでしょう。

 

ワーク・ライフ・バランスの導入に際して、自社の課題を解決する施策に取り組んでいくといいでしょう。

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