過重労働とは?過重労働の定義や原因、過重労働を防ぐための施策を解説
2025.10.31
働き方の多様化に伴い、過重労働対策に取り組む企業が増えています。
長時間労働は疲労の蓄積をもたらし、健康にも影響を及ぼしますが、定められた労働時間を上回って働いている労働者は多くいます。
今回は、過重労働の定義や原因、過重労働を防ぐための施策について解説します。
過重労働とは
過重労働とは、長時間の時間外労働、度重なる休日出勤などによって、心身に大きな負担を与える働き方のことです。
過重労働には、能力や経験よりも大きな責任を負わされることや、上司から厳しい叱責を受けて心身が疲弊している場合も含まれます。
過重労働は、労働基準法などに法律で定義されていません。
ですが、厚生労働省では、時間外労働と休日労働時間が、月100時間を超える場合や、2~6か月平均で月80時間を超える場合、健康障害のリスクが高いとしています。
法律で認められる労働時間の上限
法律上の労働時間の上限は、1日8時間、週40時間で、週1日(または4週間のうち4日以上)の休日を設けることになっています。
2019年に施行された働き方改革関連法の改正前は、残業時間の上限はありませんでしたが、現在は時間外労働(休日労働含まず)の上限は、月45時間・年360時間です。
また、臨時的な特別な事情があって労使合意(特別条項)する場合は、以下のようにしなければいけません。
・時間外労働が年720時間以内
・時間外と休日労働の合計が月100時間未満
・2~6か月を平均して、すべてが1か月につき80時間以内
・年間6回まで月45時間を超える
過重労働と長時間労働の違い
長時間労働とは、長い時間働いている状態のことです。
「何時間以上働いたら、長時間労働に該当する」といった基準はありませんが法定労働時間を大幅に超えて働いている状態のことです。
一方、過重労働とは、労働者の精神や身体に大きなダメージを与えて、過労死のおそれがある働き方のことです。
つまり、長時間労働は、働いている状態を意味しますが、過重労働は、身体的・精神的負荷の意味も含まれている点が異なります。
過重労働が発生する要因
過重労働が発生する要因を挙げてみましょう。
・業務量が多い
・人材が不足している
・仕事の繁閑の差が大きい
・長時間労働が評価される環境である
過重労働によって引き起こされる問題
過重労働によって引き起こされる問題にはどのようなものがあるのか、以下で見てみましょう。
過労死のリスクが高まる
過重労働は、過労死につながるおそれがあるため、注意したほうがいいでしょう。
過労死とは、過労死等防止対策推進法第2条で、以下のように定義されています。
・業務における過重な負荷による脳血管疾患、心臓疾患を原因とする死亡
・業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡
・業務における過重な負荷による脳血管疾患、心臓疾患
・業務における強い心理的負荷による精神障害
脳疾患、心臓疾患、精神疾患のリスクが高まる
過重労働は、身体に過度な負荷をかけるため、心筋梗塞、 脳卒中、胃十二指腸などの身体疾患につながるおそれがあります。
また、過重労働は、不規則な勤務やプレッシャーから精神疾患のリスクが高まるおそれもあるので、注意しましょう。
過重労働を防ぐために企業が取る対策
過重労働を防ぐために企業が取る対策をご紹介します。
時間外労働と休日労働時間を削減する
企業は、時間外労働と休日の労働時間を削減する必要があります。
例えば、時間外労働や休日労働に関する協定である、36協定の限度時間にあう労働時間にしなければなりません。
[36協定]
36協定とは、労働基準法36条で定める時間外労働に関する協定のことです。
36(さぶろく)協定と呼ばれています
36協定で定められている限度時間は、1か月で45時間、1年間で360時間で、それを超えると罰則が科せられます。
そのため、労働者の健康被害を防ぐために、月45時間以上の時間外労働や休日出勤を削減する必要があります。
また、年5日の年次有給休暇だけでなく、有給の取得を促進し、労働時間を減らす施策をすることも重要です。
健康診断を実施する
1年に1回は、従業員の健康診断を実施しましょう。
また、脳や心臓の疾患に関する血圧などの項目で異常が見つかった労働者には、1年に1回無料で受けられる特定保健指導の受診を促すことも大切です。
過重労働に陥らないために労働者がすること
次に、過重労働に陥らないために労働者がすることを以下で見ていきましょう。
十分な休息時間をとる
まずは、十分な休息をとりましょう。
疲れたら、長めに睡眠時間をとるだけではなく、気分転換のために、仕事以外でストレスを発散できるような時間を作るといいでしょう。
身体面での異常に対処する
身体の異常に意識しましょう。
社会人になると、仕事を休めないと言う理由で、体の不調があっても、我慢をする人もいます。
ですが、我慢が命取りになることがあるため、頭痛、吐き気、手足のしびれ、めまいなどの症状がある場合、心臓や脳の疾患があるかもしれないので、できるだけ早く診察を受けましょう。
まとめ
過重労働のリスクを放置すると、取り返しのつかないことになるため、過重労働を未然に防ぐ取り組みをすることが重要です。
デジタル時代であっても、労働者によって企業は発展するため、職場環境を見直して、働きやすい職場づくりをしましょう。
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