長時間労働が起こる原因とは?長時間労働による影響と問題点を解説
2025.01.03
働き方改革によって、多くの企業で、長時間労働が是正されてきています。
ですが、他の先進国と比べると、まだその割合が高いです。
今回は、企業が抱える長時間労働の原因や問題点などについて解説します。
長時間労働とは
長時間労働とは、決められた時間より長く労働することです。
ですが、明確な基準や定義がありません。
労働基準法における労働時間や厚生労働省の見解によると、長時間労働の基準は、「36協定の基準」「過労死の基準」「精神疾患の基準」となっています。
36協定による基準
労働基準法では、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけないと定められています。
この時間を超えて労働させる場合、企業と従業員で時間外労働協定(通称:36協定)を締結する必要があります。
時間外労働協定では、月45時間、年360時間を上限とする時間外・休日労働が認められています。
また、この上限を超えても、以下の条件を満たせば、時間外労働の超過が認められています。
・時間外労働が年720時間以内
・時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満
・時間外労働と休⽇労働の合計について、「2か⽉平均」「3か⽉平均」「4か⽉平均」「5か⽉平均」「6か⽉平均」が全て1⽉当たり80時間以内
・時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6か⽉が限度
月平均で、45~80時間が、36協定によって認められた時間外労働の基準になります。
過労死の基準
過労死の基準は、月45時間を超えて長くなると、業務との過労死の関連性が強くなると、厚生労働省が公表しています。
過労死は、36協定の基準である1ヶ月100時間、平均80時間は目安であって、80時間以下であっても過労死に至るケースがあります。
また、月の時間外労働時間が60~80時間になると、脳や心臓疾患のリスクが通常の2~3倍に高まると公表されています。(労働安全衛生総合研究所有害性評価研究グループ部長の岩崎氏の研究結果による)
つまり、36協定の基準を下回っていても、過労死のおそれがあるといえるでしょう。
精神障害の基準
精神障害とは、うつ病や適応障害、統合失調症などの障害です。
長時間労働は、精神障害と密接な関係があるため、以下の基準に該当すると、労災として認定されます。
・発病直前の1ヶ月におおむね160時間以上の時間外労働
・発病直前の3週間におおむね120時間以上の時間外労働
・発病直前の2ヶ月連続して1ヶ月当たりおおむね120時間以上の時間外労働
・発病直前の3ヶ月連続して1ヶ月当たりおおむね100時間以上の時間外労働。
長時間労働が起こる原因
長時間労働が起こる原因を以下で挙げてみましょう。
業務が多すぎたり、人手が足りない
業務が多すぎて、営業時間内に仕事が終わらないと、長時間労働になります。
また、人手が足りなくて、1従業員あたりの業務量が増えているケースもあるでしょう。
長期にわたって、業務過多の状態が続くと、従業員の心身が疲れ切ってしまって、休職や離職につながってしまうおそれがあります。
管理職のマネジメント不足
長時間労働をすると、管理職のマネジメントが不足してしまいます。
例えば、部下の仕事の量や進捗状況が把握できていなかったり、時間外労働や休日出勤に気づいていないことが挙げられます。
そうなると、職場で長時間労働が蔓延してしまいます。
長時間労働が当たり前の社風
残業が当たり前の社風であると、長時間労働になってしまいます。
例えば、上司が残業しているので帰りにくいといった雰囲気があると、定時になっても退社しづらく、仕事が終わっているのに残業しなければいけない従業員が出てしまいます。
また、残業をする従業員は頑張っていると評価する風土があると、長時間労働につながってしまいます。
長時間労働による影響
では、長時間労働による影響を挙げてみましょう。
コストが増える
長時間労働をすると、時間外労働のため、1.25倍や1.5倍の割増賃金を支払わなければいけなくなり、コストが増えてしまいます。
また、従業員が離職すると、新しい従業員を採用するための採用コストもかかります。
離職率が上がる
長時間労働は、離職の原因になります。
従業員が離職して、従業員数が少なくなると、在籍している従業員の業務量が増えて、ますます長時間労働をすることになってしまいます。
企業イメージが悪くなる
長時間労働をさせられる企業というイメージがついてしまうと、国から指導をされたり、企業名が公表されるため、対外的な信頼を失ってしまいます。
また、SNSなどに、悪い労働環境の口コミを書かれて、優秀な人材雇用の機会損失につながるリスクもあるでしょう。
健康障害のリスク
長時間労働をすると、脳や心臓の疾患や精神障害を引き起こす原因になります。
企業は、従業員の健康管理をしなければいけないため、安全配慮義務違反になると、労働者に対して損害賠償などの責任を負う可能性があります。
36協定違反による罰則が科される
2019年4月から36協定に違反すると、罰則が科されることになりました。
締結した時間外労働時間を超えたり、以下の上限を超えた場合も、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科されることがあります。
・月100時間未満(休日労働含む)
・2~6ヶ月平均80時間以内(休日労働含む)
・年720時間以内
長時間労働を改善させるための対策
長時間労働を改善させるための対策をご紹介します。
労働時間を可視化する
従業員の労働時間を可視化しましょう。
従業員が労働時間を自己申告している企業が多いですが、それでは実態を把握できません。
また、自主的に労働時間を短く申告したり、上司からの圧力で申請時間を調整することもあるでしょう。
そのため、始業・終業時刻を記録する勤怠管理システムを導入するといいでしょう。
ストレスチェックを実施する
ストレスチェックを実施することもおすすめです。
ストレスチェックとは、職場でのメンタルヘルス不調の予防に使われるテストのことです。
改正労働安全衛生法によって、常時50 人以上の従業員を雇用する事業所では、ストレスチェックを年 1 回以上実施することが義務づけられています。
ストレスチェックでは、従業員のストレスの程度を確認できるため、従業員の長時間労働の原因を特定することができます。
経営層がメッセージを発信する
経営層がメッセージを発信することも大切です。
こうすることによって、従業員が長時間労働を減らすという意識を持って業務に取り組めるでしょう。
新しい勤怠制度を導入する
フレックスタイム制やインターバル制度などを導入しましょう。
タスクを終えたら、スムーズに仕事を終えられるので、長時間労働を抑制する効果があります。
評価制度を変更する
人事評価の見直しをしましょう。
例えば、時間当たりの採算によって、インセンティブを付与するといいでしょう。
管理職を教育する
管理職を教育することもおすすめです。
労働時間や業務を管理すると、長時間労働を削減できます。
そのため、管理をする管理職に、特別な研修や教育をする必要があります。
まとめ
長時間労働は、従業員の健康に影響を及ぼしたり、企業の生産性が低下する重大な問題です。
そのため、勤怠管理ツールの活用など対策をして、状況を改善して、よりよい労働環境を築いていきましょう。
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