未払い賃金の時効が3年になって企業が取るべき適切な対応について解説
2025.07.14
2020年3月に、従業員が未払いの残業代などを企業に請求できる期限(時効)について、「当面3年に延長」する改正労働基準法が成立しました。
4月1日に支払われる賃金から適用され、今後、「5年」に延長されることが決まっています。
では、企業は、未払い賃金がトラブルにならないようにどんな対応をするべきなのでしょうか。
今回は、残業代の時効に関するルールと企業がとるべき対応について解説します。
未払い賃金とは
未払い賃金とは、就業規則や労働契約で、会社が支払わなければいけない賃金が、所定の支払日に、労働者に支払いが完了していない賃金のことです。
未払い賃金のまま放置していると、企業にとって大きなリスクになるため、早急に対応しなければいけません。
未払い賃金が発生する理由
未払い賃金が発生する理由を挙げてみましょう。
サービス残業をしたり、給与計算を間違えた
残業代の未払いは、未払い賃金の大きな要因です。
ここには、意図的に残業代を支給しないサービス残業と、残業代の計算に誤りがあり、未払い分が蓄積されていることがあります。
サービス残業によって、会社に多額の未払い賃金が発生していることもありえます。
また、計算間違いの金額は大きくなくても、放置し続けると、従業員が不信に思ったり、助成金を申請する際に障害になることがあります。
経営が不振になる
経営不振に陥って、資金が不足すると、賃金の未払いが発生してしまいます。
賃金は、支払日から遅れないように支払う必要があるため、賃金の未払いが起こった企業は、経営的に致命的な状態といえます。
ワンマン経営をしている
ワンマン経営をしていて、経営者の恣意的な判断で、賃金の一部を支払わないというケースがあります。
例えば、1回休んだだけなのに、労働基準法や就業規則で定められている以上の金額を、欠勤控除してしまうことが挙げられます。
また、ワンマン経営をする社長の気分で、賃金の計算結果が変わってしまうこともあるでしょう。
未払い賃金は労働基準法に対しての違法行為
労働基準法第24条で、「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない」と定められています。
そのため、賃金の未払いをすると、第24条に違反することになります。
また、労働基準法第120条1項で、罰則が定められており、賃金未払いの場合は、30万円以下の罰金というペナルティが課されます。
未払い賃金の時効延長
未払い賃金の時効は2年でしたが、2020年4月1日から3年に延長されました。
2020年4月1日以降に支払われる賃金が対象となっており、2020年4月1日以前に支払い義務がある未払い賃金については、時効は2年です。
未払い賃金に対して企業が取るべき対応とは
未払い賃金に対して企業が取るべき対応をご紹介します。
労働時間の管理方法を見直す
未払い賃金問題を防ぐために、労働時間を管理しましょう。
残業代を請求された際に、勤務時間の証拠の有無が問題になります。
きちんと賃金を内訳しておかないと、残業代が支払われていないとされてしまうため、以下のようなものを使うことが重要です。
・タイムカード
・就業規則
・雇用契約書
・給与明細
・シフト表
・業務日報
・パソコンのログイン記録
・メールの送受信履歴
また、働き方改革に伴って、始業・終業時刻を、PCのログイン・ログオフや、職場への入退場時刻等のログと照合して、労働者の労働時間を記録することが求められています。
そのため、自己申告によって勤怠を把握している場合、未払い残業代のリスクだけでなく法令違反のリスクもあるので、すぐに勤怠管理方法を見直したほうがいいでしょう。
労働時間の数え方を見直す
昼休みなどの休み時間に電話対応や来客対応をしている場合、休憩時間を労働時間とみなさなければいけません。
また、就業時間外に行われている研修教育や掃除、朝礼のように、参加が強制されていることは、「業務」として労働時間にカウントする必要があります。
そのため、労働時間を明確に就業規則や雇用契約書で決めて、労働時間を十分に把握をしておくことが重要です。
また、労働基準法では、「残業時間の端数処理することは違法」とされています。
「○分未満切り捨て」ということは認められないため、端数は1分単位で管理して、残業時間を算出する必要があります。
賃金の計算式を見直す
計算式の間違いも起こりうるため、賃金の計算式を見直しましょう。
また、割増賃金の時間単価を計算する際に、「計算に含む手当」を算入し忘れないようにすることも大切です。
未払い賃金が発見されたら、速やかに清算するようにしましょう。
まとめ
今回は、未払い賃金の時効が3年になって企業が取るべき適切な対応について解説しました。
時効の延長によって、これまでの時間外労働や割増賃金を請求される可能性は高まっています。
そのため、企業は、適切に労働時間を集計して、給与計算に反映する体制を早急に整える必要があるでしょう。
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