コラム

高度プロフェッショナル制度とは?メリットやデメリットなどを解説

2025.11.11

高度プロフェッショナル制度とは、専門的で高度な職業能力を持つ労働者を対象として、労働基準法上の労働時間に関する規定を適用しない制度のことです。

 

この制度を適切に導入すると、企業は従業員に残業代を払わなくて済みますが、導入するための要件があります。

 

今回は、高度プロフェッショナル制度のメリット・デメリット、導入手順などについて解説します。

高度プロフェッショナル制度とは

高度プロフェッショナル制度とは、一定の年収要件(年収1075万円)を満たして、高度な専門知識を持っている労働者を対象に、労働基準法上の労働時間や割増賃金に関する規定を適用しない制度です。

 

ホワイトカラーエグゼンプションとも呼ばれています。

 

給与は、成果をベースにして支払われるため、定められた就業時間の縛りがありません。

 

高度プロフェッショナル制度では、長時間労働を防止する健康確保措置(年間104日の休日確保の義務化など)を講じながら、時間外・休日労働協定の締結や時間外・休日・深夜の割増賃金の支払い義務等の適用が除外されます。

 

高度プロフェッショナル制度の対象業務

高度プロフェッショナル制度の対象職務は、以下の通りです。

対象業務や職種

高度プロフェッショナル制度の対象業務には、「高度な専門知識や技術、経験を要するもの」「業務に従事した時間と成果の関連性が高くないもの」という要件があります。

 

これらの要件を満たした業務として、以下の業務があります。

 

金融商品の開発業務 ・・・金融工学などの知識を活かす業務
ディーリング業務・・・金融知識などを活用した資産運用業務や有価証券の売買、その他の取引業務
アナリスト業務・・・有価証券市場の相場の動向や有価証券の価値の分析業務
コンサルタント業務・・・顧客の事業や企画運営に関する提案と助言
研究開発業務・・・新たな技術や商品、役務の研究開発

対象労働者

対象労働者は、以下の範囲によって設定されています。

 

・労使間の合意によって、職務が明確に定められている
 業務内容、責任の程度、求められる成果や水準を明確にして、労働者の同意が必要になります

 

・年収が1,075万円以上である

 1年間に支払われると見込まれる賃金額が、平均給与額の3倍を上回る水準である必要があります

 ここには、成果や業績によって金額が変動する賞与と手当は含まれません

高度プロフェッショナル制度のメリット

高度プロフェッショナル制度のメリットを挙げてみましょう。

生産性が向上する

高度プロフェッショナル制度は、成果を出せば評価が得られるため、生産性が向上します。

 

また、従業員が効率的に働こうと考えるきっかけにもなります。

評価制度が公平である

高度プロフェッショナル制度によって、公平な評価ができるため、従業員の納得度を高められます。

 

一般的な労働基準では、労働時間を超えると残業代が支払われますが、仕事が速く短時間で成果を出す従業員は、残業をしないので、残業代の加算がありません。

 

一方、仕事が遅い従業員は、残業した分だけ残業代が発生して給与が高くなります。

 

このような条件では、両者の間に不公平感が生まれてしまいます。

 

高度プロフェッショナル制度は、労働時間ではなく、従業員の業務の成果が評価対象になるため、公平な評価は、従業員の会社への不信感を軽減できます。

ワークライフバランスが実現しやすい

ワークライフバランスが実現しやすいメリットもあります。

 

従業員は、労働時間に縛られないで、自由に時間配分をして働けるからです。

 

育児や介護でプライベートも忙しくても、仕事との両立がしやすくなります。

高度プロフェッショナル制度のデメリット

今度は、高度プロフェッショナル制度のデメリットを挙げてみましょう。

労働時間の規制が撤廃される

高度プロフェッショナル制度の対象者には、労働基準法で定める労働時間の上限規制が適用されないため、成果が出ず、長時間労働をしなければいけなくなるデメリットがあります。

 

そのような状況が続くと、病気やメンタル不全に陥るなどのリスクも出てきます。

 

そのため、事業主が、健康管理に十分注意する必要があります。

残業手当や深夜手当がない

高度プロフェッショナル制度の対象者には、残業手当や深夜手当が支給されません。

 

成果を上げるために長時間労働をしても、労働時間に見合った賃金は支払われないのです。

評価が難しく報酬が適正でないことがある

専門性の高い業務には、評価が難しいという問題もあります。

 

例えば、半導体関連の開発に、10年以上の年月がかかったにもかかわらず、開発が失敗することもあるでしょう。

 

成果が出ないことを理由に、低い賃金を設定してしまうと、高度プロフェッショナル制度の対象者のモチベーションは上がらず、離職につながることもあります。

 

長い時間が必要な商品開発では、プロセスを考慮した適正な報酬を決めることが重要です。

高度プロフェッショナル制度の導入手順

高度プロフェッショナル制度の導入手順について見ていきましょう。 

 

労使委員会では、以下の要件を満たす必要があります。

 

・労働者代表委員が半数を占めていること

・委員会の議事録を作成、保存し、労働者に周知されていること

必要事項を決議する

労使委員会で、高度プロフェッショナル制度の導入に関する必要事項を決議します。

 

全委員の5分の4以上の同意を得る必要があります。

 

決議すべき事項は、以下の通りです。

 

・対象となる業務

・対象者の範囲

・対象者の健康管理時間を把握することと、その把握⽅法

・対象者に年間104⽇以上、そして、4週間を通じ4⽇以上の休⽇を与えること

・対象者の選択的措置

・対象者の健康管理時間の状況に応じた健康や福祉確保措置

・対象者の同意の撤回に関する⼿続き

・対象者の苦情処理措置を実施すること、その具体的内容

・同意しなかった従業員に不利益な取り扱いをしてはならないこと

・その他、厚⽣労働省令で定める事項(決議の有効期間など)

労働基準監督署長に決議内容を届け出る

所轄の労働基準監督署長に、委員会での決議内容を届け出ます。

 

提出時に、記入ミスを指摘される可能性があるため、担当者が持参するといいでしょう。

書面で対象労働者から同意を得る

書面で対象労働者から同意を得ます。

 

職務範囲、期間、報酬を明確にして、対象労働者の同意を得て、書面に署名をします。

対象労働者が業務に就く

決議事項に従って、対象労働者が業務に就きます。

 

業務に就いた後、6か月ごとに、担当者は職務の状況を所轄の労働基準監督署に報告しなければなりません。

決議の有効期間の終了

決議の有効期間が満了すると、高度プロフェッショナル制度の適用が終了します。

高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の違い

裁量労働制は、高度プロフェッショナル制度と混同されがちです。

 

裁量労働制とは、高度な知識を有しており、一定の業務に就く労働者を、労働時間の規制から一部外す制度のことです。

 

高度プロフェッショナル制度と裁量労働制は、労働者に広い裁量が与えられている点や、労働時間ではなく労働の成果で報酬が決まる点は共通しています。

 

ですが、裁量労働制の対象業務は、高度プロフェッショナル制度よりも幅広く指定されており、対象者の年収要件がありません。

 

また、裁量労働制は、労働基準法の範囲内で行われるため、休日や休憩、深夜手当、休日手当等の規定が適用されます。

まとめ

高度プロフェッショナル制度は、対象者に労働時間などの適用を除外する制度です。

 

就業規定がないため、対象者は、労働に関する大きな裁量権を得ることができますが、心身の健康を保つために、休日の確保や健康管理時間の把握を徹底する必要があります。

 

高度プロフェッショナル制度を導入して、生産性の向上につなげましょう。

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