タレントマネジメントとは?注目される背景やメリットなどについて解説
2025.10.27
昨今、タレントマネジメントという言葉をよく聞くようになりましたが、「いまいち理解できてない」という方も少なくないようです。
今回は、タレントマネジメントが注目される背景やメリットなどについて解説していきます。
タレントマネジメントとは
タレントマネジメントとは、従業員の資質や能力を最大限に活かして、企業の継続的な成長を目指す人材マネジメントの手法のことです。
学歴と職務経歴だけでなく、ポテンシャル、資質、実績をあわせて管理することによって、企業はメリットを得ることができ、従業員を効率的に育成できます。
タレントマネジメントが注目される背景
タレントマネジメントが注目を集めている背景についてご紹介します。
労働人口減少による人手不足
労働人口の減少によってどの業界でも、慢性的な人手不足になっています。
人材の獲得競争が激しくなる中で、安定的に企業経営を行い、継続的に成長するには、従業員の資質や能力を把握して、全従業員に適切な場所で最大限のパフォーマンスを発揮してもらう必要があります。
働き方改革
働き方改革が推進され、テレワークなど、時間や場所にとらわれない働き方を導入する企業が増えています。
それによって、労働者の働き方が多様化し、ワークライフバランスが重視され、企業にとって、労働環境の改善が課題になっています。
タレントマネジメントによって、従業員それぞれのパフォーマンスを最大化すると、生産性が向上し、業務効率化につながります。
ITの発展
従来、従業員の資質や能力を数値化して、客観的に評価することは困難でした。
ですが、ITの技術革新が進んで、HRテクノロジーという人事労務分野の技術が急速に発展したことによって、タレントマネジメントができる環境が整備されました。
ITの発展によって、従業員の資質や能力に合った人材育成や人材配置を戦略的にできる環境が整っています。
国際的な競争力の強化
市場のグローバル化によって、国際的な競争力を強化する必要があります。
ですが、日本の労働生産性は、諸外国と比べて低い水準にとどまっており、2021年は、OECD加盟38カ国中29位でした。(公益財団法人 日本生産性本部の調査による)
今後も世界市場で、価格や品質で激しい競争に勝ち残っていくには、従業員の能力を最大限に活かして、生産性を向上させることが必須になっています。
タレントマネジメントの目的
タレントマネジメントの目的は、組織の経営目標を達成することです。
目標を達成するには、戦略的に人材を育成・配置し、従業員の能力を最大限に発揮するための人事戦略を実行することが重要です。
また、経営目標を達成するために、統合した施策として人材をマネジメントする必要があります。
タレントマネジメントのメリット
では、タレントマネジメントのメリットを挙げてみましょう。
人材育成と人材開発を促進する
従業員の現状を正確に把握すると、従業員の課題を解決するための育成や教育をすることができます。
それによって、従業員のスキルアップや成長を促し、経営方針に沿った人材を育成できます。
また、将来の方向性を明確にして、目標にあった教育や研修を行うと、組織全体のパフォーマンスが向上するでしょう。
採用コストを削減できる
自社に必要な人材が明確になると、社内の異動で人材を補充することができ、外部から人材を採用する必要がなくなるため、人材コストを削減できます。
また、離職した従業員の特性や傾向を分析すると、人材を採用する際に求める人材が明確になって、ミスマッチを防止できます。
人材配置を最適化できる
従業員のスキルや経験、ノウハウが可視化できると、人材配置を最適化できます。
そうすると、従業員は自分の能力にあったポジションに就けるため、生産性が向上するでしょう。
人材配置の最適化を実施できると、従業員のモチベーションが維持されるだけでなく、組織全体の成果につながります。
公平性が高い人事評価制度を作ることができる
人事評価をする際に、評価者によってばらつきが生じると、従業員は、組織に対して、不公平感や不信感を抱くようになります。
ですが、タレントマネジメントを実施すると、従業員の能力やスキルなどを数値化できるため、公平性が高い人事評価制度を構築できます。
従業員のエンゲージメントが向上する
従業員が適性に合った部署に配置されたり、多面的な評価がされると、企業は従業員の能力を最大限に活かすことができます。
従業員は、自分の能力が認められると、仕事への意欲が高まり、企業への貢献を感じられるため、企業に対するエンゲージメントの向上が期待できます。
タレントマネジメントの導入方法
タレントマネジメントの導入方法を見ていきましょう。
課題を洗い出す
まずは、自社の課題を洗い出しましょう。
人材管理をする従業員の数、能力やスキル、目標や評価などの情報をデータにして可視化する必要があります。
また、従業員の情報を一元管理すると、組織内で人材の組み換えなどをする時に活用できます。
タレントを把握する
次に、社内のタレント(優秀な人材)を特定し、パフォーマンス評価などを通して、彼らのスキルや経験などを把握しましょう。
それから、どの人材がどのポジションに適しているか、将来的にどのような役割を担う可能性があるかを明確にする必要があります。
タレントマネジメントの基本設計を考える
タレントマネジメントの基本設計を考えましょう。
いつ、どの従業員に、何をするのかを熟考して、制度化することが重要です。
また、達成度合いを計測して、監視するための定量的な指標であるKPIを設定するといいでしょう。
モニタリングをする
タレントマネジメントを運用したら、定期的に効果をモニタリングしましょう。
モニタリングでは、設定した目標に対して進捗状況を確認して、必要に応じて調整をします。
具体的には、定期的な評価やフィードバックの実施、データ分析による成果測定をします。
タレントマネジメントの注意点
タレントマネジメントを導入する際には、注意したいポイントがあります。
では、タレントマネジメントの注意点について見ていきましょう。
中長期的に人材マネジメントをする
多くの企業が短期で成果を出したいと考えていますが、タレントマネジメントは、すぐに成果が出ません。
そのため、タレントマネジメントは中長期的にキャリア支援をする必要があることを理解しましょう。
3年~10年くらい、中長期にわたって管理する必要があります。
導入費用がかかる
タレントマネジメントを成功させるには、人事管理システムの導入と運用のためのコストがかかります。
そのため、予算について検討する必要があります。
長期的な投資と考えて、費用対効果を検討しながらシステムを選ぶといいでしょう。
まとめ
今回は、タレントマネジメントの意義、導入メリットや注意点などについて解説しました。
企業を取り巻く環境が急速に変化する中で、企業は、従業員に適材適所で最大限のパフォーマンスを発揮してもらう必要があります。
タレントマネジメントを通して必要な人材要件を明確にして、従業員の能力を把握・育成するために包括的な人材戦略を行うことが重要と言えるでしょう。
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