コンセプチュアルスキルとは?メリット、構成要素やスキル向上の方法などを解説
2025.08.11
先行きが不透明で、未来の予測も困難な現代では、コンセプチュアルスキルが注目を集めています。
コンセプチュアルスキルは、すべてのビジネスパーソンに求められるスキルですが、経営者に特に求められる大切なスキルです。
今回は、コンセプチュアルスキルの概要や高め方などについて解説します。
コンセプチュアルスキルとは
コンセプチュアルスキルとは、物事の本質を見極めて個人や組織の可能性を最大限まで高める能力のことです。
具体的には、予期しない環境の変化やトラブルに直面した時に、それぞれの事象の共通点を素早く見抜き、正しい判断へと導ける力のことです。
概念化能力とも呼ばれています。
組織全体に影響を与える重要な能力であるため、管理職に求められるスキルの一つとされています。
テクニカルスキルとの違い
テクニカルスキルとは、業務意識や技術のことです。
例えば、製造業では技術担当者、接客業では窓口担当者といったように、現場で働く人に求められるスキルのことです。
コンセプチュアルスキルは、事業の将来を見据えた洞察力や論理的思考力などの多角的な対応力が求められますが、テクニカルスキルは、自分の業務をスムーズに遂行していくための技術的スキルです。
カッツモデルのコンセプチュアルスキル
アメリカの経済学者であるロバート・L・カッツが、1950年代に提唱した「カッツモデル」を軸とした概念がコンセプチュアルスキルです。
カッツモデルは、企業の管理職に求められるスキルを以下の3つに体系化しています。
[トップマネジメント層]
経営方針などの重要事項を決定し、企業全体のマネジメントをする経営者層のことです
[ミドルマネジメント層]
部長や課長などの管理職が、ミドルマネジメント層です
[ローワーマネジメント層]
現場で従業員をまとめる主任などが、ローワーマネジメント層です。
また、マネジメント層に求められるスキルとして、以下の3種類があります。
[テクニカルスキル]
職務遂行にあたって必要とされる専門的な知識や技術のことです。
ローワーマネジメント層に重要とされるスキルです。
[ヒューマンスキル]
周囲と良好な関係を築くことができる対人関係能力のことです。
ミドルマネジメント層に求められるスキルです。
[コンセプチュアルスキル]
複雑な情報や知識の中から物事の本質を見抜く能力のことです。
トップマネジメント層に必要なスキルです。
コンセプチュアルスキルは、トップマネジメント層になるほど必要になりますが、ローワーマネジメント層は低い割合になります。
テクニカルスキルは、ローワーマネジメント層になるほど必要になりますが、トップマネジメント層は低い割合になります。
ヒューマンスキルは、どの層でも均等な割合で必要なスキルです。
コンセプチュアルスキルを構成する要素
コンセプチュアルスキルを構成する要素を挙げてみましょう。
ロジカルシンキング
ロジカルシンキングとは、物事を論理的に整理したり説明する能力のことです。
論理的思考とも呼ばれます。
仕事には、さまざまな要素を含んでいるため、問題の発生原因は、複数の事象が複雑に影響していることがあります。
ロジカルシンキングができると、問題に対して、どんな課題や原因が含まれているかを分解し整理することができます。
ロジカルシンキングの研修においては、課題を的確に認識する能力や相手のニーズを的確に把握する能力を養うトレーニングをします。
ラテラルシンキング
ラテラルシンキングは、固定概念にとらわれずに、自由に発想できる能力のことです。
ラテラルシンキングは、斬新なアイデアを生み出すため、変わり続けるビジネスや新規事業の立ち上げの際に有効です。
例えば、「A商品が売れているのは〇〇のニーズがあるから」と考えるのではなく、「A商品が売れているなら、Bというニーズもあるのでは?」と新しい仮説を立てることができます。
前提を疑ったり、すべての物事を新しい発想の糸口に使う際に、ラテラルシンキングを活用します。
クリティカルシンキング
クリティカルシンキングとは、現状の前提を疑って、物事を分析的に捉えて思考する能力のことです。
批判的思考とも呼ばれています。
サービスの質を向上させるための発想を生み出すのに欠かせません。
クリティカルシンキングは、リスクヘッジをする時に重要な考え方で、論理構成や分析内容などを内省するという意味で使われます。
多面的視野
多面的視野とは、一つの物事に対して複数の視点から検討し、課題解決の糸口を探る思考法のことです。
クリティカルシンキングやラテラルシンキングと一緒に使うことで、新たな発想を生み出すために必要な能力です。
課題に対し複数のアプローチを考えるため、思考の偏りを防ぎ、課題解決の成功率を高めることができます。
俯瞰力
俯瞰力とは、細部に捉われず、課題の全体像を把握するのに必要な能力のことです。
俯瞰力がないと、判断ミスが頻発することがあります。
例えば、新しいプロジェクトの立ち上げの際に、俯瞰力があると、プロジェクトが組織戦略にどのように寄与するかを把握できます。
知的好奇心
知的好奇心とは、未知の事柄や興味を持ったことに対して、知りたいと探求する内発的な欲求のことです。
知的好奇心があると、新たな知識や情報を得ることができ、学習意欲や自己成長の原動力になります。
関心の幅を広げると、多角的な視点や柔軟な思考が育まれ、問題解決力が向上します。
受容性
受容性とは、自分と異なる価値観や特性を受け入れられるスキルのことです。
相手の意見に耳を傾けることができるため、お互いにとっていい結果を導くことができます。
柔軟性
柔軟性とは、予想外の出来事に対して、臨機応変に対応できるスキルのことです。
柔軟性のある人は、新たな課題に直面しても、従来のやり方に固執しないで、新しい切り口で問題を解決することができます。
探究心
探究心とは、物事を深く理解するために、調査や分析をするスキルのことです。
探求心があると、本質を見抜くきっかけにもなります。
チャレンジ精神
チャレンジ精神とは、挑戦する前から絶対無理と諦めるのではなく、果敢に挑戦することです。
困難な課題や未経験の分野に対して果敢に挑戦し、行動するチャレンジ精神は、自分の成長だけでなく、周囲の人に訴えかける効果もあります。
一流と呼ばれている人は、限界やリスクを恐れずに、常に新たな課題や目標に向かってチャレンジし続けています。
コンセプチュアルスキルを高めるメリット
コンセプチュアルスキルを高めるメリットについて見ていきましょう。
生産性が向上する
管理職が部下の多様性を受容したり、的確な指示を出すことによって、働きやすさを感じた部下のモチベーションが向上したり、業務が効率よくなるため、組織全体の生産性が向上します。
課題解決力が上がる
コンセプチュアルスキルが高まると、問題が発生した際に、迅速に対応でき、根本原因を見極めたうえで有効な対策を立てることができます。
一時的な対処ではなく、再発防止を含んだ持続的な解決策を立案し実行できるため、同じトラブルが再発するリスクを大幅に軽減できます。
イノベーションが促進される
固定観念に縛られない自由な発想と、異なる分野の知見を組み合わせる能力が育まれるため、イノベーションが起きやすくなります。
そのため、新規事業や新たなアイデアが出やすくなり、挑戦を後押しする文化が醸成されます。
失敗を恐れずに挑戦し続けることで、組織全体の創造性が大幅に高まるでしょう。
環境変化に対応しやすくなる
コンセプチュアルスキルを高めると、外部環境の変化を敏感に察知できるため、素早く戦略を転換できます。
市場や顧客ニーズの変化を的確に捉えて対応するため、予測困難な時代でも競争力を維持して、持続的に成長することができます。
コンセプチュアルスキルが高い人の特徴
コンセプチュアルスキルは、物事の本質を捉えて、課題を解決できる重要な能力のことですが、コンセプチュアルスキルが高い人には、どのような特徴があるのか、以下に挙げてみましょう。
・物事の全体像を詳細とともに把握している
・数字に基づく客観的な判断ができる
・問題に対して新しい解決方法を提案する
・報告を聞くだけでなく自分で調べる
・目的を持って考えている
・不測の事態に対して冷静に対応できる
・多様な価値観を受け入れることができる
・挑戦を恐れずに、新しいアイデアを生み出すことができる
・新しい知識や技術を積極的に吸収し、ビジネスに活かすことができる
コンセプチュアルスキルが高い人は、役職や部署に関わらず活躍できます。
コンセプチュアルスキルの高め方
コンセプチュアルスキルを高めるには、以下のポイントを意識するといいでしょう。
物事を抽象化する
まず、物事を抽象化しましょう。
抽象化された概念より具体的な事象のほうがイメージしやすいのですが、具体例は他の事象との共通点を見つけたり、成功例や失敗例として活用したりすることができないからです。
物事を抽象化する時に、以下の点を意識しましょう。
・個別の情報を書き出す
・各項目の共通点を探す
・共通項目をもとにグループ分けしてみる
・「要するに」という言葉を使う
物事がうまくいく理由や失敗した時の共通点を分析するといいでしょう。
漏れやダブリがないかを考える
漏れやダブリがないかを考えましょう。
MECE(ミーシー)は、漏れやダブリがないことを表す言葉です。
Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive(互いに排他的かつ共に網羅的)という言葉の頭文字をとっています。
MECEを以下の例で見てみましょう。
日本をMECEで表すと
〇:北海道・本州・四国・九州 →漏れもダブリもなくMECEである
✕:北海道・本州・九州 →四国が漏れているのでMECEでない
✕:北海道・本州・東京・四国・九州 →本州と東京がダブっているのでMECEでない
✕:北海道・四国・九州・福岡 →本州が漏れていて、九州と福岡がダブっているのでMECEでない
※沖縄は九州に含みます
コンセプチュアルスキルを高めるには、考える対象が漏れもダブリもなくMECEな状態かを確認することが大切です。
物事の本質と定義を明確にする
いくつかの項目から共通性と本質を見つけたら、定義を明確にしましょう。
例えば、成功パターンと失敗パターンの分析をする場合、両者の本質を自分の言葉で定義する必要があります。
「成功するためには、Aの要素が関係している」といったように、掴んだ本質を言語化して表現すると、物事を概念化する能力が磨かれます。
物事を具体化する
本質と定義を言語化したら、本質から見えた事柄を具体化します。
例えば、結果を業務やマニュアルに活かすことで、より実践的な価値として落とし込むことが大切です。
まとめ
コンセプチュアルスキルは、変化し続けるビジネス環境に対応するために必要な能力です。
コンセプチュアルスキルを向上させると、早期の課題解決や業務のスムーズな進行につながるでしょう。
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