サーバントリーダーシップとは?10の特性とメリット・デメリットについて解説
2025.05.07
「サーバントリーダーシップという言葉を聞いたことはあるけど、よく意味がわからない…」という方も少なくないようです。
サーバントリーダーシップは、支援型リーダーのことで、近年注目されています。
今回は、サーバントリーダーシップの10の特性やメリット・デメリットについて解説します。
サーバントリーダーシップとは
サーバントリーダーシップとは、リーダーが部下に指示や命令するのではなく、支援・奉仕する形で、チームを牽引して部下をまとめることです。
サーバント(servant)には、奉仕する人という意味があります。
サーバントリーダーシップでは、部下の話をよく聞いて、どうすれば部下の役に立てるのかという視点が必要になります。
サーバントリーダーシップが生まれた背景
サーバントリーダーシップは、1970年に、アメリカのロバート・K・グリーンリーフ博士によって提唱されました。
当時アメリカでは、ベトナム戦争の泥沼化や、ウォーターゲート事件の勃発によって、若者が社会を導くリーダーに対して不信感を募らせていました。
そうした状況下で、ロバート・K・グリーンリーフ博士は、ヘルマン・ヘッセの「東方巡礼」を読んで、権力や物欲への執着ではなく、理想の社会を実現するために行動できるリーダーの必要性を提唱しました。
サーバントリーダーシップと支配型リーダーシップの違い
「支配型リーダーシップ」とは、従来からあるリーダーシップで、リーダーがメンバーを指揮・統制してチームをまとめて、進むべき方向へと導くことです。
リーダーはメンバーを支配する立場として考えられてきました。
ですが、「サーバントリーダーシップ」は、メンバーを支援したり後押ししたりすることが基本のスタンスになります。
つまり、「支配型リーダーシップ」は、恐怖心や義務感で部下を行動させるという特徴がある一方、「サーバントリーダーシップ」は、部下との信頼関係や安心感を大切にしながら、部下が自分で考えて行動するという特徴があります。
サーバントリーダーシップが重視される背景
不確実性の高いVUCA時代の到来が、サーバントリーダーシップが重視される背景にあります。
現代では、グローバル化やIT化が進展し、新しい技術やビジネスモデルも生まれ、ビジネス環境の変化の激しさが増しています。
そのため、従業員それぞれが高い主体性を持って仕事に取り組むことが重要です。
サーバントリーダーシップは、部下の主体性に働きかけるリーダーシップであり、実践すると、部下が主体性を持って働くことができるので、組織を変化に強くすることができます。
サーバントリーダーの10の特性
では、サーバントリーダーの10の特性を挙げてみましょう。
NPO法人「日本サーバント・リーダーシップ協会」によると、サーバントリーダーには10種類の特性があるとされています。
傾聴
傾聴とは、相手が言いたいことをきちんと聞き取れる能力やスキルのことです。
サーバントリーダーシップは、部下を支援・奉仕するというスタンスのリーダーシップ制ですので、サーバントリーダーは、部下がどのような支援・奉仕を求めているかを聞き取る必要があります。
そのため、部下に寄り添って、考えや意見、悩みなどを聞き取る力が求められます。
共感
サーバントリーダーは、完璧な人はいないことを理解して、部下の立場に立って物事を考える「共感」の姿勢が求められます。
部下の気持ちを理解して、共感しようと努力し、感謝と思いやりを示すことが大切です。
癒やし
サーバントリーダーは、部下に癒やしを与えて、安心させることを求められます。
サーバントリーダーが、部下の悩みを解決するために、精神的なサポートを提供し、一緒に解決策を考えると、部下の心の回復を助けて、安心感を与えることができます。
部下がミスをしても、責めるのではなく癒やしを与えれば、部下のモチベーションの低下を防ぐことができます。
気づき
部下をよく観察して、ちょっとした変化に気づくことも大切です。
気づくことによって、本質を見抜いたり、チームをまとめることができるからです。
また、サーバントリーダーが自分の行動を顧みて、リーダーとしてのあり方や姿勢、やるべきことを考える必要もあります。
説得
サーバントリーダーは、リーダーとしての権限によって部下を服従させるのではなく、部下から同意を得られる説得をする必要があります。
部下が納得して業務に取り組むと、チーム力が強化され、目標が達成しやすくなります。
概念化
部下が、チームの目標を共有して、仕事に取り組む「概念化」も必要です。
そのためには、サーバントリーダーが、目標を言語化して、部下にわかりやすく説明しなければいけません。
部下に目標を理解させることによって、自主的な行動を促すことができるのです。
先見力
先見力とは、過去の教訓や現状から、将来起こる出来事を予測することです。
ビジネスを取り巻く環境が大きく変化する中で、チームが成長し続けていくには、過去の出来事から未来を見据えて、方向性を見定める力が必要になります。
執事役
自分が利益を得ることよりも、相手に利益を与えることに喜びを感じたり、相手から一歩引くことを心得る能力が、執事役です。
チームが仕事を進めやすいように、相手の利益を優先して行動することが重要です。
人々の成長に関わる
サーバントリーダーは、業務を遂行する際に、部下の成長に深く関わります。
ここでは、部下の成果だけを評価するのではなく、プロセスも重視することが必要になります。
コミュニティづくり
サーバントリーダーは、部下が、お互いに助け合いながら働きやすく成長できるコミュニティを作ることを求められます。
そうすることによって、部下は能力を発揮でき、チーム内で相乗効果を生み出せるようになります。
サーバントリーダーシップのメリット
サーバントリーダーシップのメリットには、どのようなものがあるのか、以下で見てみましょう。
生産性が上がる
サーバントリーダーシップには、生産性が向上するメリットがあります。
サーバントリーダーが、部下を支援・奉仕するため、リーダーと部下それぞれが成長できるのです。
そうすることによって、責任感が出てきたり会社に貢献したいというロイヤリティが生まれ、モチベーションを上げることができるでしょう。
コミュニケーションが活性化する
サーバントリーダーシップを行うと、従業員間のコミュニケーションが活性化しやすくなります。
支配型リーダーシップでは、リーダーが指示や命令をするため、部下は受け身で業務に取り組みがちです。
ですが、サーバントリーダーシップでは、リーダーが部下の発言を引き出す役割を担っているので、部下が発言する機会が多く、多様な意見が受け入れやすくなります。
顧客満足度が上がる
企業の顧客満足度が上がることも、サーバントリーダーシップのメリットです。
サーバントリーダーシップでは、部下の自主性が尊重されるため、モチベーションを高くすることができます。
顧客の利益を最大化するためには何をすればいいのかを自分で考えて行動できるので、顧客満足度の向上につながります。
サーバントリーダーシップのデメリット
サーバントリーダーシップのメリットを見てきましたが、サーバントリーダーシップにはデメリットもあります。
ここでは、デメリットについて確認していきましょう。
意思決定をするのに時間がかかる
サーバントリーダーが部下の意見をよく聞くことによって、意思決定に時間がかかってしまうデメリットがあります。
そうなると、チーム全体の意思決定が遅れて、業務の進捗や締め切りに悪影響を及ぼすおそれがあります。
脱落する部下がでてしまう
自主的に業務に取り組めない部下は、ついていけずに脱落してしまうことがあります。
部下の自主性を尊重するサーバントリーダーシップでは、部下にも知識や経験値が求められます。
また、方向性がはっきり見えていないチームでは、サーバントリーダーシップは適していません。
組織が方向性の調整が難しい
サーバントリーダーシップは、部下の意見や価値観を組み取って、反映します。
したがって、組織の方向性を調整するのが難しく、混乱を生み出してしまうことがあります。
一方、支配型リーダーシップでは、部下は、サーバントリーダーの考えに沿っても動くため、方向性を統一しやすく、効率的です。
サーバントリーダーシップ導入時のポイント
ここでは、サーバントリーダーシップ導入時のポイントを見ていきましょう。
部下の意見を否定しないで傾聴する
サーバントリーダーが、部下の意見を傾聴して、共感しながらコミュニケーションをすることが大切です。
そうすることで、お互いの信頼関係を構築でき、仕事における協力体制を整えることができます。
部下をほめる
サーバントリーダーシップでは、部下をほめることも重要です。
ほめられると、自己肯定感が上がって自信を持つことができ、さらに能力が引き出されるでしょう。
仕事の目標を設定する
部下が自分で目標を決めて、達成までの道筋を考えるようにすると、部下は自主的に業務に取り組むようになります。
また、部下が目標達成に課題を感じている場合には、サーバントリーダーが方向性を模索するといいでしょう。
まとめ
サーバントリーダーシップとは、サーバントリーダーが部下の意見に耳を傾けて、組織を支えることです。
ですが、それは、部下を甘やかすことではなく、部下の主体性を引き出して、自ら行動できる人材に育て上げることが目的のため、組織のパフォーマンスを上げることができるでしょう。
チーム内でのコミュニケーションを活性化させ、部下が主体的に動ける組織を作っていきましょう。
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